今求められるSEOとは?「SEO観点でのA/Bテストが必要」
カンファレンス「MozCon2019」の記事です。A/Bテストなどについての解説。
今求められるSEOとは? 検索ユーザーの評価を高めるA/Bテストのススメ | MozCon2019レポート
Googleに起こったこの10年で大きな変化
●世界最大のオンラインユーザーの行動データを保有する企業となった
●高度な機械学習を駆使する、AIファーストカンパニーへ変貌したユーザー体験の質が検知可能に
たとえば、あるキーワードでの検索結果画面で最上位のウェブページをクリックしたが、意図する情報が得られないと感じ、すぐさま検索結果へ戻ってきてしまう現象(「ポゴスティッキング(Pogosticking)」とオースベイ氏は発言)、は最もわかりやすい例だろう。
検索クエリにもよるが、望ましくないユーザー体験のシグナルとなり得る。ポゴスティッキングが積み重なると、該当クエリでのそのページのランキングが下落することが知られている。
ユーザーエンゲージメントのランキング影響に関する様々なデータ
CNBCの取材記事の中で、Googleエンジニアが、あるアルゴリズムの検証作業時に、「何%のユーザーが検索結果へクリックバックしていたか」を計測するシーンが記述されている。
アルゴリズムの「検証」には少なくとも、エンゲージメント指標が用いられているのである。ユーザー行動データのランキング影響が強いケースは?
■検索結果の1ページ目
1ページ目に表示されているページに対するユーザー行動データは大量に蓄積されるが、2ページ目以降はそうではないということである。Distilledでは、検索結果の1ページ目と2ページ目にランクインしているページの順位とリンクの相関について調査を行った。
その結果、以下の事柄が明らかとなった。
検索結果1ページ目の上部に掲載されているページの順位とリンク指標との間には相関性がほとんど見られなかった。
2ページ目に掲載されているページとの間には相関性が認められた。
1ページ目の下部に掲載されているページとの間でも若干の相関が確認された。裏返せば、ユーザー行動データは、より上位ページ間のランキング競争において、重要なシグナルとしての役割を果たし、下位のページでは他の指標(リンクなど)の比重が高まる傾向にあるということだ。
■検索数の多いクエリ
同様に、検索数の多いキーワードほどユーザー行動データは蓄積しやすく、ロングテールキーワードになればなるほど、その蓄積は少なくなる。
キーワードの検索市場別に同様の調査を行ったところ、以下の結果となった。
●検索数の多いキーワード:リンクとの順位相関は弱い
●検索数の少ないキーワード:リンクとの順位相関あり悪いユーザー体験がSEOに与える影響
Forbesのメインコンテンツは素晴らしいものだが、広告を始めたとしたさまざまな仕掛けが検索から訪れたユーザーにとって大変煩わしいものとなっており、Googleに対して残念なユーザー行動シグナルとして伝わっているようと考えられる。
●メインコンテンツと全く関連性の無い動画広告(サイドメニュー)
●動画広告のプリロードの開始(ページ上部)
●ブラウザプッシュのオプトインダイアログ
●スクロールダウンすると再び関連性の無い動画広告このような体験を提供するForbesサイトの自然検索トラフィックはどうなっているのだろうか。
サードバーティツールからの推計となるが、外部リンクは右肩上がりに上昇しているにも関わらず、自然検索トラフィックは前年対比で35%減少というデータとなっている。検索エンジン経由ユーザーに対するUXのSEO影響は、確かにあると考えることができるはずだ。
今の時代に即したSEOアプローチとは?
■SEO施策の効果検証の難しさ
まず、ユーザーが満足するUIには、たったひとつだけの正解というものは存在しない。したがって、必要になるのは、実験的アプローチである。実験的アプローチで考えていくにあたって、あらかじめ解決しておかなければいけないことがある。
それはテスト条件を揃えることだ。
たとえば、施策前後での自然検索トラフィックの単純な変化による成果判定はミスリーディングにつながる場合がある。
●強いシーズナリティが存在する業界の場合
●GoogleのSERPに大幅な変更が施された(ホテル検索のローカルパック等)場合上記のようなケースでは注意が必要である。
このような前提条件の変化を吸収できるような設計が何よりもまず求められる。
その上で、ユーザー行動に対する最適化を意図して、さまざまなUX改善や内部施策を同時並行実装することになる。
仮に、7つの施策を同時に実施し、施策前後で14%の自然検索トラフィックの向上が見られたとする。トラフィックが伸びた事自体は大変喜ばしいことだが、少し立ち止まって考える必要がある。
本当に7つの施策は、均等に2%ずつ流入向上に貢献したのだろうか?
答えは、「ノー」だろう。
実際には、いくつかの施策は確かなプラス貢献があり、いくつかは貢献がなく、残りはむしろマイナス影響を与えた可能性がある。各施策の影響度合いを的確に把握することができれば、もしかするとトラフィックの増加率は14%ではなく、さらに向上させることが実現できるかもしれない。
そうなれば、SEOプロフェッショナルとしてのあなたへの信頼もより増すことになるだろう。
解決策:SEOのスプリットランテストの実施
これを実現するための手法が、SEO観点でのスプリットランテスト(A/Bテスト)である。
■例)あるペット関連ウェブサイトのカテゴリページ
A/Bテストを正確に行うためには、同じ条件下で、AとBを比較しなければならない。そのため、現行デザインとテストデザインを同じ条件下で比較し検討する。前者のことをコントロールグループ、後者をバリアントグループという。●現行デザイン(コントロールグループ):「ページ大見出し→導入文→画像」という構成
●テストデザイン(バリアントグループ):「ページ見出し→動画→リスティクル形式テキスト(箇条書きでまとめられた形式)」という構成カテゴリページという「同じテンプレート」の枠組みの中で、2つのレイアウトパターンを用意することで、正しいテスト結果が得られるのだ。
A/Bテストを通じた学び
■ケース1: タイトル変更テスト
●仮説:Eコマースサイトでは、通販(Online)であることは自明だから、カットしても問題ないのではないか?
●実施内容:バリアントグループとして、Eコースサイトのタイトルタグから「Online」を削除してみる(例:「Buy Dresses Online」、「Buy Hats Online」、「Buy Belts Online」からOnlineをカット)
●結果:変更実施後、すぐさま順位が下落。ただ、Online記述を復活させると、順位もすぐに復活
●学び:タイトル変更による変化の影響を、元に戻すことは可能(Reversible)■ケース2: JS レンダリングテスト
●仮説:Google公式ブログにて、Googlebotがモダンブラウザのように振る舞うようになり、JavaScriptも素敵にレンダリングしてくれているとの記事があった
●実施内容:バリアントグループに、HTMLにコンテンツを直接出力するパターンを加えてテスト
●結果:バリアントグループの自然検索トラフィックが、コントロールグループ(JSベース)に比べて、6.2パーセント上昇
●学び:Googleは最も信頼できる情報ソースとは限らないときもある(会場内笑)■ケース3: 新鮮なコンテンツが評価されるかどうかのテスト
●仮説:コンテンツの鮮度がランキングに影響があるかどうかを検証したい
●実施内容:記事に関する構造化データマークアップの更新日時(dateModified)部分を、プレーンに日付を出力させず、Today関数を出力
●結果:大変興味深いデータが出たが、内容は自粛(会場内再び笑)検索ユーザーの満足度はA/Bテストで検証
●ユーザーの検索体験がランキングに直接反映されるようになってきている
●ピンタレスト(Piterest)、ジロー(Zillow)など開始する企業がどんどん出てきている
●成果の出る施策を的確に識別できることで、SEOとしてのあなたへの信頼度の向上に資する
●実行できるツールや環境が整ってきている
辻氏
これは全体的に同意な記事。ABテストの重要性は書いてあるとおりだけど、ユーザ行動だけを分割するのは困難なので設計・解釈で誤りの例も多くて難しい……>今求められるSEOとは? 検索ユーザーの評価を高めるA/Bテストのススメ | MozCon2019レポート | Mozcon https://t.co/m5HHQxWLV4
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) October 1, 2019
SEOコンサルタントのまとめ
▼サイトに意図する情報が無くて検索結果へ戻ってきてしまう現象は「ポゴスティッキング(Pogosticking)」と言う
▼エンゲージメント指標はアルゴリズムの「検証」に用いられている
▼検索結果の1ページ目のサイトは「ユーザー行動データ」のランキング影響が強い
▼悪いユーザー体験がSEOに与える影響はたしかにある。
▼ユーザーが満足するUIの正解は無いので実験的アプローチが必要
▼SEO観点でのスプリットランテスト(A/Bテスト)が必要
▼タイトルタグから「Online」を削除→順位落ちる→記述を復活→順位復活
▼Googleは最も信頼できる情報ソースとは限らない時もある(笑)
▼「ユーザーの検索体験」がランキングに直接反映される傾向
▼ピンタレスト(Piterest)、ジロー(Zillow)など開始する企業が増えた
A/Bテストは必要ですよね。「Googleは最も信頼できる情報ソースとは限らない時もある(笑)」
という言葉がありましたが、サイトによってはグレーが通じたりすることもありますし効果の度合いも違います。
A/Bテストにより経験値が高まります。