ゼロクリック時代の新常識。今、マーケターが追うべき「トラフィック以外」の指標
AI時代のデジタルマーケ特集: 今するべきことは? 将来に備える姿勢は?【SEO情報まとめ】[Web担当者Forum]
「現在のデジタル環境において、「ウェブサイトのトラフィック増加に注力」することは「時代遅れ」で「効果的ではない」戦略だ」
このように、SparkToro(スパークトロ)のランド・フィッシュキン氏が主張した。
グーグルやフェイスブック、リンクトインなどの主要プラットフォームからの参照トラフィックは減少しており、この傾向は過去4年間続いている。そこに見えるのは、プラットフォーム上でユーザーの疑問を完結させる「ゼロクリック時代」の足音だ。
318人のシニアマーケティングリーダーと実務担当者を対象とした2025年のハブスポットの調査では、「現在のマーケターが考える優先事項」と「オンライン環境の現実」との間に大きな乖離があることが明らかになった。
調査によると、次のようなデータがある:
▼マーケターの60%が今後12か月の注力する優先事項として「トラフィックの増加」を挙げている。
▼同様に、59%が主要なKPIとして「全体的なトラフィックの成長」を挙げている。
こうした「トラフィックへの注力」のほかにも、マーケターが取り組むべきことはある。注力する優先事項では「ユーザーエクスペリエンスの向上」が37%で2位、「セキュリティの強化」と「コンバージョン率の向上」がそれぞれ34%で3位に並んでいる。注目すべきは、「ウェブサイトでの購入や収益の向上」が16%で最下位の優先事項だったことだ。
現在、検索だけでなく各種のプラットフォームが、「ゼロクリックの世界」に突入している。これは、
▼外部ウェブサイトにユーザーを送る
のではなく、▼その場で答えを提供してエコシステム内に留める
ように設計されているためだ。たとえば、「家を買うときの手順」と検索すると、その疑問に対する包括的な答えが結果ページに直接表示され、ウェブサイトをクリックする必要性が減少するようになっている。こうした実情からフィッシュキン氏は、トラフィックを「虚栄の指標」とラベル付けし、「トラフィックを追求しても他のマーケティング活動に比べて大きなビジネス成果をもたらす可能性は低い」と断言している。
では、トラフィックを追いかける代わりに、マーケターは何に注力すればいいのだろうか? フィッシュキン氏の持論は次のとおりだ:
「RedditやYouTubeのような、「オーディエンスが既に活動している場所」で役立つリソースとなることに集中すべき」
目標は「これらのプラットフォーム内でブランドの注目を集めること」であり、それが結果的に適切な人々をランディングページや製品ページに誘導することになる。
そしてフィッシュキン氏が推奨しているのが、「リードジェネレーション」や「コンバージョン率」のような、トラフィックよりもビジネス成果に近い意味のある指標に焦点を移すことだ。こうした指標は、より多くの顧客を獲得し収益を増加させるといったビジネス目標とより密接に連携しているからだ。
SEOに取り組んでいると、どうしても「上位表示」とそれに伴う「トラフィック増加」をKPIにしてしまう。しかし、ビジネス上の最終ゴールはコンバージョン増加(≒売り上げ増加)あるいはブランド認知向上だ。
「AIによる概要」や「AIモード」の登場により、ゼロクリックが今後さらに強まることは想像に難くない。トラフィック至上主義の考え方を再考したい。
SEOコンサルタントのまとめ
マーケターが追うべき「トラフィック以外」の指標[Web担当者Forum]
1位:「トラフィックの増加」60%
2位:「ユーザーエクスペリエンスの向上」37%
3位「セキュリティの強化」34%
3位:「コンバージョン率の向上」34%
最下位「ウェブサイトでの購入や収益の向上」16%