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JADE創業メンバーの対談…「SEOと広告の未来は?」

投稿日:2020年2月13日 更新日:

JADE創業メンバーの対談…「SEOと広告の未来は?」

元Googleの長山氏と小西氏、JADE創業メンバーの対談レポート記事より抜粋。

機械学習によって「SEO」と「デジタル広告」はどう変わった? 担当者が知っておきたい現実と未来

リンクだけやってもだめ、コンテンツだけでもダメ

講演の後半では、長山氏と小西氏がSEOおよびリスティング広告運用の今後について対談した。

SEOは、2019年の今もなお、デジタルマーケティングにおいて重要項目である。小西氏はSEOの知識は少ないと明かし、果たしてどうすべきかを長山氏に聞いた。

Google の検索サービスは米国での誕生以来、すでに約20年の歴史を誇るが、その内部アルゴリズムは常に改良が加えられてきた。Google 検索はもともと PageRank などのリンク分析アルゴリズムを持っていたことが他の検索エンジンに対する強みであり、コンテンツスパムを用いた不正な操作に対してより強い検索エンジンとして登場した。しかし、リンクを操作するいわゆる「リンクスパム」の登場とともに、次々に現れるスパム手法との”いたちごっこ”が行われるようになった。

こうした Google 対 スパマーの“いたちごっこ”の中で、リンクスパムに対して Google が勝利をおさめるようになるにつれ、2010年代後半は「コンテンツマーケティング」「ユーザー行動」などの概念が注目を浴びるようになった。集客したい側が、SEO面で有利なコンテンツを作成し、最終的に本業(ECサイトなど)へと誘導するのが基本的な考えである。

しかし、結局、これが行き着いた先は「コンテンツの粗製濫造」だった。ネット上のコンテンツがあまりにも増え、1ページ1ページの賞味期限はどんどん短くなった。加えて、Google もアルゴリズム改善を進め「長いだけのページ」を高品質扱いしなくなった。

このようにリンク、コンテンツなどSEOを行う上で重要な“シグナル”は、より多様化している。どれか1つに対処したからといって、効果を上げられる時代はもう終わったと長山氏は断言する。

ユーザー目線に

『ユーザー目線に立って、自社サイトやサービスのコアバリューを考え、それを数値化して、地道に改善していくしか、本質的には(SEOを有利にするための)方法はない(長山氏)』

たとえば、自社サイトの被リンク数が100、競合サイトの被リンクが1000だからといって、それだけに右往左往し、不自然に人工リンクを稼ぐ必要はもうないだろうとも長山氏は話す。コンテンツの量についても同様で、内容のない、ユーザーが読んでもまったくためにならないコンテンツを増やしても、それはむしろ悪影響だろうとも述べている。

『『週に3本コンテンツを作る』というような目標はやめて、高品質な1本をつくるようにしたほうが良い、ということですね(小西氏)』

また小西氏は、リンク数やページ表示速度など、検索順位を判断する上で“一番重要なシグナル”はなんなのだろうかと質問したが、長山氏は「ない」と断言する。「ページの価値」を基準に、さまざまなシグナルを複合的に取り扱うのがGoogleであり、“裏技”が存在しないことを強調した。

エステ広告のエピソードがあぶり出す「機械学習」の実力

当時の小西氏は、エステ会社のディスプレイ広告の案件を担当していた。「エステ」というキーワードを登録しておけば当然、Googleの広告ネットワークに入っているエステ関連サイトで、その広告が表示されるのが自然だが、まったくといっていいほど表示されなかった。

だがほどなくして、恋愛関連のページに当該広告が表示されるようになり、コンバージョンを獲得する機会が増えていった。エステに興味を持つ人であれば、同じく恋愛にも興味を持つ可能性は高いと推察される。こうした、ジャンルの想定の広がりは「占い」を経て、「不倫」関連のページにまで至った。

ただ、話はここで終わらない。さらに、カフェ関連のWebサイト、男性アイドルグループ関連サイトに広告が表示され、しかもコンバージョンを獲得するようになったのだ。

広告の表示先がエステ以外にも自動で広がっていったのは機械学習以外の仕様の影響もあるが、これほどまでに配信先が広がり、かつ、コンバージョンも膨大に獲得していく動きはそれまで見たことがなく、真新しい何かを見ている気分だった。機械学習がどういうものかわかってきた後で改めて思い出すと、あれは機械学習が影響していたのだろうとしか思えないし、そう考えると納得がいく。

SEOと広告の未来は?

長山氏はこの話を受け、「将来、広告運用の仕事はどうなっていくのだろうか」と漏らした。小西氏も、2019年の現時点では、“作業”という意味での運用の手間は大きく軽減されているとしたが、一方で、広告を上手く運用するために「Webサイトを改善する」ことが重要になってきたと語る。

検索キーワードに沿ったコンテンツを用意することはもちろん、広告から遷移してきたユーザーをサイト内で回遊・循環してもらえるようにナビゲーションメニューを作り込むことは、Googleによる広告評価を高めることにつながる。さらに、リマーケティング(リターゲティング)広告を外部サイトに出す際の重要データ源となるだろう。

こうして、「ユーザーのためにサイトを便利にする・作り込む」という観点において、SEOと広告は非常に近しい存在になってきているようだと小西氏は評する。また長山氏は、これまでSEOと広告がそれぞれ「部分最適」化を進めてきた一方で、ユーザーは“検索と広告が一体になった1つの検索結果画面”を見ているのだと指摘。SEO業者と広告会社の協調による「全体最適」が求められているとした。

最後のまとめとして、小西氏は以前の広告運用はPDCAサイクルでいうP(計画)が特に重要だったと話す。しかし機械学習を前提とするシステムが当たり前となった今では、Pに必要以上に時間をかけすぎるより、とにかく早く、多く、D(実行)をこなすべきだと。

長山氏は「Model taming(モデル ティミング)」という考え方が重要ではないかと述べる。猛獣を飼い慣らすように、「機械学習モデルを飼い慣らす」という意味だ。機械学習モデルは、しばしばブラックボックスになりがちだが、目的としている数字に対しては的確な結果を出してくれる。使い手は、データという名の餌をしっかりと与えていき、モデルからの言葉に耳をしっかり傾けていくべきだと呼び掛け、講演を終了した。

SEOコンサルタントのまとめ

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