「トラフィック時代」の終焉、AI時代のメディア戦略転換を280人の編集長リサーチに学ぶ
「トラフィック時代」の終焉、AI時代のメディア戦略転換を280人の編集長リサーチに学ぶ【SEOまとめ】
【オンラインメディアにおける「トラフィック時代」は終焉を迎えつつある】
こんなショッキングな情報を教えてくれる調査レポートを紹介する。
AI時代のメディアをとりまく変化とその対応について、ロイター・インスティテュートが調査レポートとして発表したものだ。
オンラインメディアは大きな変化の時代を迎えている。「AIによる検索要約」「チャットボット」といった生成AI技術がメディアサイトへの流入を大幅に減少させ、さらにインフルエンサーや一般クリエイターがメディア企業の領域を浸食してきていることが、その背景にある。
調査レポートでは、オンラインメディアに対する検索経由のトラフィックは、今後3年間で急減すると予測している。特にライフスタイルや旅行系コンテンツが大きな打撃を受けそうだという。
こうした情勢に対応するため、メディア企業も変化を進めている。これまでのような規模重視のモデルから、「サブスクリプション」「ショート動画」「クリエイター型ジャーナリズム」へと軸足を移し、読者との直接的な関係構築を目指しているのだという。
調査レポートの主要なポイントを簡潔にまとめる:
▼流入の減少 ―― メディア幹部は、検索エンジンからの流入が3年間で43%減少すると見込んでいる。
▼即時的な影響 ―― Chartbeatのデータによると、ニュースサイトへのグーグル検索トラフィックは1年で33%減少しており、米国ではさらに高い減少率が確認されている。
▼影響を受けやすいコンテンツ ―― 最も大きな影響を受けているのは「ライフスタイル」「旅行」「セレブ」関連コンテンツ。その一方、「ライブ報道」や「時事問題」はAI要約の影響を比較的受けにくい。
▼AIの浸透 ―― グーグルのAI Overviewsは現在、米国の検索結果のおよそ10%に表示されており、他の地域でも急速に展開が進んでいる。
▼チャットボットの成長 ―― ChatGPTからの流入は増加しているものの、現時点では誤差程度に過ぎないとされている。
▼戦略的転換 ―― 出版社は「大ヒット型のトラフィックモデル」から離れ、「サブスクリプションモデル」へ移行し、読者との直接的な関係を強化している。
▼記者のクリエイター化 ―― メディア管理職の75%が、2026年に向けて、スタッフにYouTubeやTikTokのコンテンツクリエイターのような振る舞いを促す計画を立てている。
▼プラットフォーム投資 ―― メディア企業は、若年層の注目を集めるため、YouTubeやTikTokなどのプラットフォームでの短尺動画や音声コンテンツへの投資を急いでいる。
▼協業 ―― 調査対象となった管理職の半数が、コンテンツ配信を支援するために独立系クリエイターとの提携を計画している。
▼「人間」の優位性 ―― 混乱が続く中でも、AIには再現が難しいと専門家が考えているコンテンツとしては、「信頼できるニュース」「専門的な分析」「人間によるストーリーテリング」などがある。
グーグル検索の利用数は減っておらず、SEO自体が終焉を迎えたわけではないのだが、メディアサイトのなかには、AI普及の煽りを受けてビジネスモデルの戦略転換を求められているところもあるようだ。
オリジナルの調査レポートは『ジャーナリズム、メディア、テクノロジーのトレンドと予測2026』と題し、ロイター・インスティテュートとオックスフォード大学の名前で発表したもの。
日本を含む51か国のメディア(デジタル・紙)における上位職280名が回答したデータを元にしたもので、調査期間は2025年11月18日から12月20日。
※この記事の見出しで「280人の編集長リサーチ」としたが、実際の回答者は「上位職」ということで、編集長・発行人・シニアエディター・デジタルディレクターなどを含んでいる。
オリジナルの報告書はここで全文を読める(PDFもダウンロードできる)。
ここで紹介したのは全体のごく一部に過ぎない。メディアの将来(そしてオンラインコンテンツの将来)に興味のある方は、ぜひ調査レポートの全文を読んでみてほしい。
あなたがメディア企業で仕事をしているわけでないとしても、同様の影響を多かれ少なかれ受け、対応していくことになっていくはずだ。メディアがどう戦略転換しようとしているのかを知っておくことに損はないだろう。